CJPF AWARDグランプリ授賞 監督インタビュー

ツーリズムおおいた|大分県

CJPF AWARDグランプリ授賞 監督インタビュー

映像制作 海外展開 欧米豪圏
クライアント ツーリズムおおいた/大分県観光局
実施期間 2024年5月 〜 2024年12月
メディア YouTube / OOH
対象 欧米豪圏

成果

  • CJPF AWARD 2026 ムービー部門グランプリ
  • YT広告において、視聴率は全体の平均で70.2%達成

概要

本作品は、大分県に残る隠れた魅力を、衣食住および文化など多角的な視点から描いた映像作品です。工芸・アートを主軸とし、主に英語圏の視聴者に向けて制作されました。 シネマティックな映像表現を通じて、オーセンティックな大分県の魅力を表現しています。欧米市場を意識したカラーグレーディングを施し、重厚感のある質量を感じさせる映像に仕上げています。

制作分野

映像ディレクション 企画・構成・脚本 ローカライズ 翻訳・字幕 撮影 編集

データと直感、そして「熱気」。CJPFグランプリ・梅田監督が切り取った「まだ見ぬ大分」

2025年のアドベンチャーツーリズム映像での受賞に続き、2026年はCJPF AWARDにてグランプリを受賞。今回のプロジェクトでは、欧米豪・アジアという幅広いターゲットに向けた緻密な戦略と、監督ならではの「現場の空気感」が見事に融合していました。

本インタビューは企画構成から撮影編集まで一気通貫して制作を担当した梅田監督による、制作の裏側を集約したインタビューです。

データから導き出された「Art」という鉱脈

――2年連続での受賞、本当におめでとうございます。今回は「欧米豪」と「アジア」、それぞれに向けた動画制作という幅広いオーダーだったそうですね。

梅田監督(以下、梅田): ありがとうございます。今回は弊社のプランナーとかなり綿密に作戦を練りました。ターゲットの属性といっても非常に広いですから、まずはデータを元に「彼らが好むジャンルは何か?」を紐解いて整理してもらったんです。さらに、社内の海外出身スタッフにも意見をもらいながら、「なぜそれが好まれるのか」という根拠の精度を上げていきました。

――今回グランプリを受賞した「Art」篇も、そこから生まれたのですか?

梅田: まさにそうです。プランニングによって導き出された「Art」というジャンルを、どうやって映像の軸にしていくか。そこから僕の演出がスタートしました。

――シリーズ全体のテーマは「Unveil the Hidden Gems in Oita」だそうですね。

梅田: はい。「まだ見ぬ大分の至宝を明らかにする」という意味です。訪日客にまだ十分に伝わっていない、大分県の隠された魅力を伝えようと。

日田祇園祭で見つけた「本物」の定義

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――「Art」篇では、単なる芸術作品の紹介にとどまらない深みを感じました。

梅田: テーマは「自然と人が織りなす”アート”」です。実は当初、もっとシンプルに「アート」そのものを撮ろうと思っていました。でも、初回のロケで訪れた7月の「日田祇園祭」が僕の考えを大きく変えたんです。

――何があったのですか?

梅田:あのお祭りは、いい意味で「観光客のために形を変えていない」んです。大分のリアルで、素直な熱気がある。それを見た時に、「これはこの土地で人が紡いできた文化であり、熱なんだ」と肌で感じました。
その瞬間、「大分にあるアートとは、自然と人が織りなすものだ」と自分の中で確信しました。まあ、ロケの初日からそんな深いことを言っても「突然何を言い出すんだ」と思われそうなので、スタッフには言わずに自分の中だけに留めておきましたけど(笑)。

――その「日田祇園祭」のシーンは、映像の中でも特に印象的でした。

梅田:あそこは構成上も大きな起点になっています。
前半で見せる「自然が織りなすアート」や「伝統工芸」が、この日田祇園祭で文化的に集約され、そこからフォーカスが「人」や「現代アート」へと移っていく。過去と未来を繋ぐ重要なシーンです。
実はここ、2日間かけて僕一人で撮影したんですが、本当に暑かった(笑)。でも、その気温と人の熱量がうまく映像に定着できたと思います。

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欧米豪の視点に合わせた「黒」の作り方

――映像のトーンも、前作とはまた違う重厚感がありました。

梅田:今回は欧米豪向けということもあり、明度の重心を低く、「Authentic(本物・正統派)」な印象を与える絵作りを心がけました。そうすることで、大分県が持つ自然や工芸の神秘的な美しさが際立つように設計しています。カメラワークに関しては前回同様、クローズアップと引き絵のコントラストで没入感を演出することを大切にしました。

――撮影期間も長かったようですね。

梅田 7月にスタートして、11月頃まで断続的に大分へ通いました。トータルで1ヶ月分くらいは滞在していたと思います。

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

梅田 初回は、昨年評価いただいたAT(アドベンチャーツーリズム)動画と今回のPR動画を同時に、しかも一人で撮影していたので緊張感はありました。でも、被写体がとにかく魅力的なので、素直に感動しながら撮っていましたね。2回目以降はカメラマンと二人三脚でレンタカー移動だったんですが、現地のラジオ「大分FM」に曲をリクエストしながら、全70箇所近くを回りました。

――リクエスト、読まれましたか?

梅田 読んでもらいましたよ!(笑)移動中もそんな感じで、楽しみながら撮影していました。

パズルと選曲、産みの苦しみ

――制作過程での苦労についても教えてください。前回はラインプロデューサーさんが大変だったと伺いましたが。

梅田: 今回もやっぱりラインプロデューサーですね(笑)。AT動画とPR動画が同時進行だったので、香盤表(スケジュール)の設計はまさにパズルのようでした。クライアントも含めて全員が文字通り「One Team」になっていたからこそ乗り越えられたと思います。

――監督自身が苦労された点は?

梅田 2番目に大変だったのが「選曲」です。映像を仮組みしても、曲が全然ハマらなくて……。1.5ヶ月くらい、組んでは壊しを繰り返して数百曲は聴いたと思います。

――解決の糸口はどこにあったのですか?

梅田 最後のロケで訪れた、竹田市の「竹楽(ちくらく)」です。そこで竹灯籠の幻想的な空気を感じた時に、頭の中で「動画のラストはこれだ」と決まりました。「こんなテンポ感で、こういう楽器が鳴っていて」というイメージを持ち帰って選曲したら、それが完璧にハマったんです。あれは嬉しかったですね。

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――最後に、作品への反響について教えてください。

梅田 様々な声をいただきましたが、「大分に行ってみたくなった!」という言葉はもちろん、「大分県にこんな場所があったんだ!」と驚いてくれるのが嬉しいですね。タイトルの通り「Hidden Gems(隠れた宝石)」を伝えられたなと。僕らが現地で感じた「大分の香り」が、パッケージを開けた瞬間にそのまま伝わっているなら、これ以上の喜びはありません。

――2年連続の快挙、改めておめでとうございました!

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ENGAWA株式会社|クリエイティブディレクター、映像デザイナー
梅田直希
デジタル領域におけるクリエイティブエージェンシーにて、WEB・アプリ・紙媒体等のデザイン制作に従事。さらに、写真・映像撮影・編集も行い、課題解決のための多面的な提案・制作を得意とする。制作実績:実写版映画「銀魂」タイトルデザイン(‘17)、北海道観光サイト「hokkaido-mustseeanddo.」('20)、TOHOシネマズアプリ(’17)、「第7回 日本国際観光映像祭(JWTFF)」にて、国際部門のファイナリストに選出、および、日本部門「観客賞」受賞。2020年よりサウナ専門ch「ととのいたい2人のミッドナイトサウナ」を立ち上げ、サウナ専門のプロダクションも開始。