第7回日本国際観光映像祭にて 観客賞授賞!監督インタビュー

ツーリズムおおいた|大分県

第7回日本国際観光映像祭にて 観客賞授賞!監督インタビュー

映像制作 海外展開 欧米豪圏
クライアント ツーリズムおおいた/大分県観光局
実施期間 2024年5月 〜 2024年12月
メディア YouTube / OOH
対象 欧米豪圏

成果

  • 第7回日本国際 観光映像祭にて 観客賞授賞

概要

大分県豊後大野市の訪日外国人向け観光PR映像です。外国人ツーリストの旅の視点から、雄大な自然や歴史的スポット、地域文化、そして地元で暮らす人々との交流を、物語形式で描いています。実際の旅を通じて、豊後大野市ならではの隠れた魅力を発信します。

制作分野

映像ディレクション 企画・構成・脚本 ローカライズ 翻訳・字幕 撮影 編集

「大分の香り」をそのまま届ける。JWTFF観客賞受賞・梅田監督が語る、アドベンチャーツーリズム映像の裏側

2025年、日本国際観光映像祭(JWTFF)にて、大分県のアドベンチャーツーリズム(AT)をテーマにした作品で見事「観客賞」を受賞された梅田監督。今回はオンラインにて、作品に込められた独自の演出論や、奇跡的とも言える撮影の裏側についてお話を伺いました。

本インタビューは企画構成から撮影編集まで一気通貫して制作を担当した梅田監督による、制作の裏側を集約したインタビューです。

3つの旅が1つに繋がる「体験」の物語

――この度は観客賞の受賞、本当におめでとうございます。まずは、今作の着想についてお聞かせください。

梅田監督(以下、梅田): ありがとうございます。元々、アドベンチャーツーリズムとして訴求したいコースが3つあったんです。そこで課題となったのが、「どうすれば1本見ただけで他のコースも見たくなるか」という点でした。そのための設計として、それぞれが1本独立して観られるドキュメンタリーでありながら、3本すべて観るとストーリーが全て繋がるような仕立てにしました。

――作品のテーマを挙げるとすれば、何になるのでしょうか?

梅田: まさに「体験」です。アドベンチャーツーリズムには、「そこに行く動機」が必要です。現地で思わず他の人に勧めたくなるような体験をし、実際にそれを勧めている様子を描く。視聴者はそれを見て「追体験」をするわけです。これは国籍に関係なく、根源的な感情を想起させるものだと思っています。

演出しないことが、最高の演出

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――出演者の自然な表情が印象的でしたが、企画や演出はどのように進められたのですか?

梅田: 「体験」には、スッと理解できる違和感のない動機が必要です。そのため、描かれる人物は常にリアルであるべきだと考えました。実際に出演していただいた方の役柄も、そのままライターやカメラマンに設定しています。彼らがそれぞれの視点で体験していくストーリーを書いたので、演技をする必要すらないんです。カメラの向こうは常にドキュメンタリーでした。

――あえて演出を加えない、と。

梅田:ええ。観光地を描く際、変に演出を加えるのは違和感を生むだけだという考えが、昔から僕の中にあるんです。なので演出と感じさせない演出。これが大事ですね。

――映像のトーンや色彩も独特の重厚感がありました。

梅田:あまり軽やかになりすぎないトーンを意識しました。本格的なアドベンチャーですから、ポップにするよりは、どしっと色が乗った絵作りにすることが重要だと考えました。

――没入感を生むために、カメラワークで意識された点はありますか?

梅田 色彩と同じく「コントラスト」です。想像を掻き立てる寄りの絵(クローズアップ)と、美しい自然を描く引きの絵。この対比こそが、今回のコースの魅力を伝えるのに必要でしたし、没入感を演出する鍵でした。

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奇跡的なスケジュールと「嬉しい誤算」

――撮影の中で、特に監督自身が心を動かされたシーンはありますか?

梅田: 阿字観(あじかん)のシーンと、田園を自転車で進んでいくシーンですね。ここは僕自身がドローンを操縦しているんですが、モニター越しに見ていて思わず息を呑んだのを覚えています。まだ1コース目の撮影だったんですが、「これは必ずいい作品になる」と確信しました。勘違いだったかもしれませんが(笑)。

――撮影期間はどのくらいだったのですか?

梅田 実は、1コースにつき1日で撮影しているんです。

――たった1日で!それは驚きです。

梅田 一度雨で中止になったこともありましたが、現地のガイドさんや県の優秀なスタッフの方々のおかげで、奇跡のようなスムーズさで撮影が進みました。現場はほとんど真夏で暑かったですが、和やかでしたね。全員で楽しもうというポジティブな空気感が終始流れていました。

――主演のマシューさんの存在感も大きかったですね。

梅田 彼とは何度も仕事をしているのですが、改めて表情の優しさと品の良さに助けられました。ナレーションも素晴らしく、声質も含めて作品に最もマッチしていまし たね。彼のおかげで全体がまとまったと思っています。

――逆に、制作で最も苦労された点はどこでしたか?

梅田 僕というより、ラインプロデューサーが大変だったと思います(笑)。実はこのAT動画以外に、観光地を紹介するPR動画の制作も同時に走っていて……。その日程(香盤表)の設計がまさにパズルのようでした。クライアントも含め、文字通り「One Team」になれたからこそ乗り越えられたと思います。

映像と音で「大分の香り」を届ける

――音楽やサウンドデザインへのこだわりについても教えてください。

梅田:音楽に関しては「嬉しい誤算」がありまして。実は1本目の後半、普光寺の阿字観のカットから流れる曲は、当初3本共通で使用する予定だったんです。でもプレビューしてみたら、阿字観の雰囲気にあまりにもハマりすぎていて。「これはこの作品でしか使えない!」となってしまい、急遽2本目、3本目の曲を探し直すことになりました。多分300曲くらいは聴き直しましたね、大変でした(笑)。

――音作りについてはいかがですか?

梅田 基本的にシネマライクなドキュメンタリーなので、過度な加工はせず、現場で収録した環境音を積極的に使っています。ロケ地が美しい分、映像とBGMだけにしてしまうとPV(プロモーションビデオ)の域を出ない。そこは意識してサウンドデザインを行いました。

――最後に、作品公開後の反響について教えてください。

梅田 色々な声をいただきましたが、「大分に行ってみたくなった!」という言葉が一番嬉しいですね。僕らが現地で感じたものを、ある意味そのままパッケージにしているので、すごくリアルなんです。そのパッケージを開けた瞬間に「大分の香り」が伝わっているんだなと思うと、本当に作ってよかったと思います。

――本日は貴重なお話をありがとうございました!

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ENGAWA株式会社|クリエイティブディレクター、映像デザイナー
梅田直希
デジタル領域におけるクリエイティブエージェンシーにて、WEB・アプリ・紙媒体等のデザイン制作に従事。さらに、写真・映像撮影・編集も行い、課題解決のための多面的な提案・制作を得意とする。制作実績:実写版映画「銀魂」タイトルデザイン(‘17)、北海道観光サイト「hokkaido-mustseeanddo.」('20)、TOHOシネマズアプリ(’17)、「第7回 日本国際観光映像祭(JWTFF)」にて、国際部門のファイナリストに選出、および、日本部門「観客賞」受賞。2020年よりサウナ専門ch「ととのいたい2人のミッドナイトサウナ」を立ち上げ、サウナ専門のプロダクションも開始。